「……悪ぃ。つい頭に血が上っちまった」


今の時点ではどちらの意見が正しいのか誰も答えられない。
土方は固く目を瞑った。



「とりあえず様子を見ましょう。まだ何も始まってはいません。
意見をぶつけ合うのはそれからでしょう?」


「ああ。山南の言う通りだな。とりあえず、今は伊東参謀を含め新入隊士たちに一日も早く環境に慣れてもらおう」


埓が明かない話し合いに終止符を打つべく、山南と近藤は目で調子を合わせた。


「…そうだな」


土方は渋々ではあるが、二人の意見を呑む事にした。


丑三つ時の密室を照らしていた蝋燭の炎が微かに揺れる。




まるで三人の不安を反映するように……