6限目が終わり、下校の時間。
 
俺はバイトに遅れるとヤバイので、急いで帰ろうとする。
 
しかし、突然、後ろの襟を掴まれてよろめいた。
 
 
『………?ったく、急いでんのに誰だよ』
 
 
不機嫌顔で掴んだ奴を見ると、やはりそいつは稔で。
 
 
「裏切り者〜!優夜があのプリント投げたんだってなぁ?どんな嫌がらせだよ」
 
 
両手を腰にあて、怒り顔でこっちを見てる。
 
 
「お前が悪いんだろー?俺起こしてやろうとしただけだし。」
 
「なら、もっとマシな起こし方しろよ〜」
 
相手にするのも疲れるので、稔を無視して、そのまま自転車の鍵を持って教室を出ようとしたら
 
 
「手伝ってけよー。友達だろー?」
 
 
と、今度は腕を両手で掴んで来た。
まるでおもちゃ屋の前で、母親に買ってと駄々をこねる子供みたいだ。
 
 
「俺はお前と違ってバイトに生きるんだ。じゃあな!」
 
 
掴まれていた手を剥がし、颯爽(サッソウ)と教室を出た。