瀬沼桃は両手を恥ずかしそうに遊ばせて、顔を伏せている。
中野はその箱をハンドルの向こう側にあるスペースに置くと、瀬沼桃の方に向き直った。
「わざわざ作ったのか?」
「……はい。」
「俺だけ?」
「っ……。」
瀬沼桃は俯いたまま、恥ずかしそうに何度も頷いている。
これは、「本気」と「義理」の違いだろうか。瀬沼桃は、「本気」なのだろうか。中野は期待に頬の緊張が弛む。
中野は、ゆっくりと瀬沼桃の髪を撫でつけた。瀬沼桃の小さな頭が愛しくて、つい何度も撫でてしまう。
瀬沼桃は肩を竦めて黙っていた。
「……瀬沼。」
「はい。」
「課題の居残り、どうして俺がいなくなると抜け出していたんだ。必ず戻ってくることにも意味があるのか?」
ずっと不思議に思っていたことを、中野は瀬沼桃に尋ねた。瀬沼桃は瞬きを数回して、困ったように再び俯いた。
「最初は、やっぱり面倒だなと思って抜け出したんです。それで……。」
ようやくそこまで言うと、瀬沼桃はまた黙り込んだ。中野は決して急かさず、首を傾げながら待っていた。

