未提出課題

 

そうか、今日はバレンタインデーというものかと、中野は渡された包みを妙に見つめてしまった。それ自体に特に意味はないが、やはり瀬沼桃が学校に来ていないことに気が付いた。
 

 
「……。」
 

 
昨日交換した番号に、電話を掛けてみようか。携帯電話を開いたまま、中野は理科教室に佇んでいる。
暫くして、中野は携帯電話をポケットに入れ、理科準備室に向かって歩き出した。
 

理科準備室に入って、中野は再び携帯電話を取り出した。電話帳機能から、瀬沼桃の番号を呼び出すと、一思いに通話ボタンを押した。
呼び出し音が鳴る。
 

 
「休みだったから、理由を聞くだけだっ。理由を、聞くだけ……。」
 

 
わけの解らない独り言で自己満足をし、瀬沼桃が電話に出るのを待った。
しかし、瀬沼桃は電話に出ない。
 

 
「……。」
 

 
繋がらない電話を切ると、中野は上着を着て理科準備室から飛び出した。