未提出課題

 

その授業は、まるで何もなかったように淡々と進んで終了してしまった。
授業の終了を告げるチャイムが鳴り響くと、生徒達は騒がしく筆記用具を片付け始める。
中野もチョークを置いて、教科書を閉じた。号令を促すと、委員が声をかける。
 

 
「起立、礼。」
 

「ありがとうございました。」
 

 
礼をしてから、中野は教材を片付け出した。
 

 
「中野先生っ。」
 

「ああ、どうした?」
 

 
女生徒が数人で中野の方に向かって来る。何かあったのかと思って振り向いた。
 

すると、女生徒から可愛らしく包装された何かを手渡された。
 

 
「何だ?これ……。」
 

「先生、今日バレンタインだよ。先生にあげる!」
 

「え、甘いモン?」
 

「うん、ガトーショコラ。もしかして先生は甘いもの駄目だった?」
 

「そんなことは……、好きだけど。」
 

 
中野がヘラリと笑って言うと、女生徒達はおかしそうに笑っていた。