未提出課題

 

二日酔いと言う程でもないが、翌日の中野は少し頭の回転が悪い。
会議には遅れるし、授業の時間帯を間違えるしで散々だった。
 

時間帯を勘違いしていて、中野がその時間帯に担当するクラスの委員が、中野を理科準備室に呼びに来た。
慌てて理科準備室を飛び出して、理科教室へと向かう。教室は酷く騒がしかった。
 

 
「遅くなって悪い。授業を始めるぞ。」
 

「先生忘れてたのー?」
 

「自習かと思ったのに。」
 

 
生徒達は口々に言う。
中野は困ったように何度も謝った。
出欠確認を行うと、いくつか空席がある。
 

 
「そこの空席……、休みか?」
 

「そうです。」
 

「誰だ?」
 

 
何を聞いても返事をする。素直な生徒がこのクラスには多いらしい。
上がる声の主はまちまちだ。
 

 
「川井君と瀬沼さんです。」
 

「川井、瀬沼……瀬沼?」
 

 
中野は、予想していなかった名前に思わず聞き返した。生徒達は中野の徒ならぬ雰囲気に、不思議そうな顔をしていた。
 

ハッとして、中野は取り繕うように笑ってからチョークを握った。