「ごめん、嘘だよ? ミューと初めての夜を過ごす時は、こんなビジネスホテルじゃなくて、もっとちゃんとした」

「違うの!」



俺の言葉の途中で、ミューは首を左右に振って否定した。



「流くんとだったら、場所なんか関係無いの……でも……」

再び大粒の涙が零れて止まらないミュー。



「ミュー、いいんだよ、無理しなくて」

「流くんのバカぁー! 気持ちは無理じゃないけど、でも、今日は『女の子の日』でダメなだけなのにぃ!」



一瞬、ミューの言っている意味が分からず、呆然とした。



「流くんにハグハグしてもらいたいのに、こんな時に……生理のバカぁ!」



あっ!

俺は急に恥ずかしくなった。



いや、あの、ミュー……何も、そこまで赤裸々に言わなくても、『今日はイヤ』って一言で良かったのに……。

そこはミューらしいな。



でも。

徐々に、俺の心の中が温かくなる。

ミューがそんなふうに思っててくれたのが、素直に嬉しかった。

1人の女性として、ミューが愛しい。



「じゃぁ、今度『女の子の日』じゃない時、一晩中ハグハグするから、覚悟しておけよ?」



俺が笑顔でそう言うと、ミューは『ヒックヒック』と泣いていたのが止まり、照れくさそうな笑顔で頷いた。



なんだかこの雰囲気だと、それはそんなに遠くない日のような予感がした。