今日も地球の上では☆1

俺はすっかり本人が忘れていた携帯をポケットから取り出し、ミューに差し出した。

「忘れ物」

「えっ?」

ミューが首を傾げて俺の手を見て、急にハッとして、携帯をバッと奪うように受け取った。



「あっ、あの……ごめんなさい」

焦った自分の行動に、ミューは素直に謝った。

その後、ジーっと俺を見る。



「なぁ、ミュー」

「あのっ、あのね」

ミューはまるで俺から話し掛けられないように、言葉を遮っている気がした。



「私、気が付いたの」

「ん? 何に?」

「私が家から電話したでしょ?」

「ああ」

「あのね……私、慌てて電話を切っちゃったけど……あの……通話が終わったら、待ち受け画面に、変わっちゃったりするよね、多分」



あっ、ミュー、自力で気が付いたなんて偉いぞ!

……って思ってしまうあたり、俺も随分、ミューを理解出来てきた、って事かな?



「そうだな、変わっちゃったりするよな、多分?」



「うわぁぁぁ」

ミューは絶叫して、両手で自分の顔を隠した。

見えている耳が、真っ赤になっている。