大きなビルの入り口に車は到着した。



この中に伊藤がいるらしい。



俺は「運転手のおじさんに「ありがとう」と言い、車を降りた。













降りると、黒いスーツの男が数人立っていた。



俺は顔を合わせないようにした。







「山本タクヤ様ですね」






俺は名前を言われて、返事をしてしまった。






「ああ、そうだが」



「ご案内します」








男たちは俺の周りに付き、厳重なガードの中、ビルを案内した。







「あんた達は何者なんだぃ」



「護衛の者です」



「護衛かー…」









いらないことをされて喜ぶ奴などいる者か…











俺は最上階の部屋に案内された。







部屋の入り口に着くと男たちは俺の周りから離れた。




「護衛はここまでってことかぃ」


「…」


「はー、そうかぃ。ありがとう」








俺は入口の扉をノックした。








トントン…













「開いてるぞ」

















俺は扉を開けた。












そこには、机でPCをいじる伊藤の姿があった。











「よう、十年ぶりだな」