神山は黒いスーツをしていた。




戦闘スタイルだ。




一応、『W』の部隊に所属しているから着ているのだろう。








「神山、どうしてわかった」


「ここに来るとき、山本がいるような気がしたから…」


「そうか。さすがだな」








俺が神山と話していると船長たちが割りこんできた。








「『悪魔』、この船には武器はない。金も…だから、お客さんには手を出さないでくれ」







船長は帽子を取り、頭を下げた。







船員もその姿を見て、同じように帽子を取り、頭を下げた。







「僕はそんなことしない…」




「確かにな…」










俺は神山がどんな奴かはもう十年も付き合っていればわかっていた。








神山は人を殺さない。