「多才能力者は人間なのか…」






アウルが話し始めた。







「人よりも一歩前に出た人間に対する人間の目線はその問題点から始まる。
答えはYESだ。
俺たちは人とは異なる産まれ方をしたが、外形も中身も人間だ。
それでは、なぜ俺たちのことを人間と思わないのか。
能力が人よりも多いことへの嫉妬か…それとも嫉みか…。
タクヤは多才能力者をどう思うんだ」







俺はどう答えていいかわからなかった。








「俺たち、多才能力者が産まれた理由はただ一つの目的のものだった。
ただ『できる』という論理的な式から始まったにすぎない。
その結果、多くの命と引き換えに産まれたのが俺たちなんだ」






「…」







「タクヤに聞きたい。
なぜ人間は才能を一つしか使えないのか…」







「それは才能と粒子のコントロールが難しいからだろ」








「正解だ。
だが、それは一般論にすぎない。
多才能力者を作る論理式の中でわかったことがあった。
それは人間の身体の中にあるとされる『リミッタ』と呼ばれるものだ。
俺たちは産まれる前から『リミッタ』をはずされて産まれたんだ」








「それが多才能力者の研究の定義なのか」









「そうだ。
研究は世界各国で行われた。
その中で唯一誕生したのが俺たち八人の多才能力者だ」






「ちょっと待て…」











「なんだ」








「アウルはNO.8って言っていたが、お前が多才能力者の研究で最後に産まれたってことか」









「そうだ」










「それなら『神山ミコト』はどうなんだ。あいつも多才能力者だぞ」











「彼は違う存在なんだ。
『神山ミコト』は研究内容が異なって産まれた者だ」