辻本は持っていた鞄の中から服を出し、洗面所に移動して服を着替えた。






しばらくして出てきた。








まさかあの辻本がこんなに美人になるとは思いもしなかった。





本当に別人のようだ。化粧をしているからか…








「辻本。なんでこんな国に一人で来たんだ」








辻本アカネは『W』の総長として世界にも名前が知れた人物だ。



圧倒的な力で『ヘブン』を自分の支配下に置き、数年後には世界トップの技術力にした。



そんな人がなんでこんな国に危険を冒してまで来るのだろう。



それに総長なら自分の国のことだけに仕事をすればいいはずだ。



なんで部下を使わない。







「私は今までずっと知りたかったことがあるの」


「なんだ」






「さっき、山本が見ていた写真からもわかるように『C』のメンバーは私にマサ・ミコト・ナナミ・山本の五人じゃない」






「そうだよ」





「個々の能力が優れている人の集まりだと思うの。
具体的に、マサはカリスマ性、ミコトは力、私は軍事力、ナナミは予知能力というようにね」





「そうだな、確かに今考えると『C』ってすごいメンバーの集まりなんだよな」





「そこなのよ。
すごい才能を持った人の集まりなのにいまだにわからない人が一人いるの」


「…」



「山本…あなたよ」


「…」






「私はこの十年間ずっと考えてたの。
あなたはどんな力を持っているの」












俺は椅子から立ち上がり、自分の鞄から煙草を一本出した。








火を点けて煙を肺に入れ吹いた。










辻本に顔を見るとこっちを見ていた。








話すべきか…