俺は下を向きながら歩いた。





奴とすれ違い、ホッとすると肩を掴まれた。






俺はドキッとした。










俺は顔を上げずに手をほどいた。




だが力が強い。離れない。




「おまえ…、タクヤか」



「…離して下さい。人違いです…」



「いいや、タクヤだ。俺が人を間違えるわけがない」



「だから、人違いですって…」



「相変わらずだな。タクヤ」



そういうと俺の顔を掴み、顔を上に向けさせた。奴と目があった。



「ほら、やっぱり」



レイは笑った。畜生が…



「なんだよ」



「タクヤ。久しぶりだな」



「…」



「どうした。俺に会えてうれしいか」



「…」



「この国に何の用があって来たんだ」



「…」








レイは俺を持ちあげたまま、話し続けた。このやろう…




「あんたこそ、どうしてこんなところに居るんだ。仕事をしろよ」






「ちょっと気晴らしに買い物をしているんだ。
部下に頼むよりも自分で買いに来た方が色々ほしいものがそろうからな」





「そうかぃ。俺もちょっと用事があってな」



「そうか。
丁度この国に総長が来ているんだ。
お前も挨拶していけ」






「いい。俺には用事があってこの国に来ているんだ」







「まあ、そう言うな」












馬鹿野郎…





だから来たくなかったなんだ。




このレイという男がこの国にいるから来たくなかったんだ。









俺は奴に腕を掴まれながら、民家に連れて来られた。













そこには辻本と数人の部下…それに縄で縛られた男が一人いた。