「それじゃあ、この世界は…人々の夢物語だってことか」










俺は金本の話を整理した。











「とらえ方は人それぞれだ。
夢物語、あるいは非現実世界、空想世界。
我々もこの世界についての答えは出ていない」









「…そんなこと不可能だ」









「それが可能だったんだ。失われた世界では…」







「そこまでの技術があるなら、世界が破滅することなんて起きない。
隕石一つで壊れるぐらいの技術力が聞いてあきれる」









「だが、現実は防ぎきれなかったんだ。
その当時、我々の世界で隕石の対処しようとはした。
しかし、計算では隕石を砕くまでしかできなかった」











「砕く…」











「我々の星『地球』の大きさよりも大きいものだったんだ」











「馬鹿な…」












「我々は計算結果をもとに、当時の技術から人間を守るための方法を模索した。
その結果が永久保存だ。
逃げ場所を造ることは簡単だった。
計算では人類をシェルターに避難させることは可能だった。
結果として誰も亡くならない逃げ場は用意できた。
ただ、一つ問題があった」










「…」











「それは我々『人間』の本質だ」














「本質…」













「我々は食糧も、あるいは場所も提供できた。
だが、隕石の落下による不安、
さらにはその後のことを考えた結果、シェルター内部で人間同士の争いが起こると考えたんだ。
一ヵ所に何億人もの人々を、同じ場所で暮らすこと。
いつ外に出られるかわからない現状。
人間の本質。これらを改善するために人々を一時的に保管させた」