俺は荷物をまとめた。



神山は眠たそうな顔をしていた。






「ありがとう。泊めてくれて」



「いいんだ…何もできなくてごめんね」



「俺こそ…せっかくだしナナミにも一度会いに行ってもいいか」



「…止めておいた方がいい」



「どうして…」



「ナナミは…」



「どうしたんだよ」





「今度、高校はクラス会があるんだ。
その時に僕たちは顔を出すから…そのときでいいかな」






「…わかった。ナナミによろしくな」






「うん」










俺は部屋を出た。





マンションを離れ、俺は伊藤に連絡した。





指定した時刻と場所に車を用意してもらうためだ。







俺は移動した。目的地に着き、指定時間まで車を待ちながら、今までのことを考えた。












神山のこと、辻本のこと、ナナミのこと、『ヘブン』のこと、世界のこと…
俺はこの十年の変化を考えた。












『俺の書いたレポートの答えは間違ってない』











この国に来るまでに船で書いたレポートの内容は正しいものだと確信した。






あとは、伊藤が読んで、何を感じるか…俺のレポートに共感し、実行してくれるのかを確認するだけだ。