俺が『ギア』を眺めていると親父が説明し始めた。



「注文されたものを作らせて頂きました。
高速移動・飛躍距離の向上・使用者へのダメージの無効化・さらに注文されたフィルターと前作よりも素晴らしいものにしました」




「さすがだね」



「履いてみますか」


「いや、これを持ってくるのが俺の仕事だ」


「わかりました」




親父の指示で部下が渡す準備をしていた。



準備が終わるとヨシトが親父に車の近くに置いといてくれと指示を出した。


俺はヨシトに聞いた。





「あれが極秘の装置か」




極秘装置には見えなかったからだ。




「ああ、あれがないとアカネの仕事に支障が生じるからね。
緊急の注文だったんだ」




「確か、『ノワール』で多才能力者と戦ったはずだが…」



「あの時は砂が入ってね。
いつもの半分も機能しなかったんだ」


「あれで半分か…」


「そうだよ。それにこれが極秘なのには二つ欠点があるからだ」


「二つ…」


「一つ目が扱える人間が『W』内ではアカネしかいないってことだよ。
移動速度が速すぎてアカネの能力以外では制御が出来ない。
二つ目は『W』以外の使用だ。
これが市場に出回れば、問題が起こる。
それだけは防ぎたい」







「問題ね。それは高速移動が原因なのか」






「よくわかったね。
アカネのような能力者が『ギア』を装備して町を歩かれると大変な事になる。
それだけは防ぎたい」



「確かに…」






俺達は部屋を出た。






「タクヤに案内したいところは、次の部屋だ」