俺が車を降りると、『エレクトロニクス社』と書かれたビルが視界に広がった。






「大きいな…」





「ほら、社長の息子さん。早く会いに行こう」








俺達が会社に入り、受付を済ませると、社員の数十人が流れるようにビルの入り口前に現れた。






二列に並び、お辞儀をした。







エレベータが一階に着き、降りて来たのは…親父だった。








親父は社員の作った道を歩きながら、俺達のほうへ向かってきた。






ヨシトに指示され、俺達も歩いた。







「タクヤ…なのか」






「久しぶり…」






親父が俺に抱きつこうとした。







俺は親父の肩を掴み防いだ。








「遠慮しとく」






「タクヤ…」









「俺は親父に会いたくてきたわけじゃない。
そこに居るヨシトに連れて来られたんだ」








「ダメだろ。ヨシト様と言いなさい」










「意味がわからん。
こいつはヨシトで充分だろ。
仕事もろくにしていないし」










「この方は『W』のNO.2の方だが、我々の中ではNO.1の方なんだ」








「へー」










俺はヨシトを見た。こいつがねー