「…そうか」





「だが、山本が知りたいんだなら調べればいい。
アカネに連絡を入れて内部データの調査の許可を貰いに行ってもいいぞ」







「そうさせてもらう」








伊藤はソファーから立ち上がり、電話を掛けた。
辻本かその部下に連絡を取っているのだろう。





電話を切ると「連絡が取れた」と言った。




「いつ頃になりそうだ」





「明日の午後ならいいそうだ」




「わかった。その時間にどこに行けばいい」




「ここでいい。案内はここからさせてもらう」





「了解だ」








俺は立ちあがり、部屋を出ようとした。




「そういえば、今度高校のクラス会があるが、行かないか」






「クラス会…同窓会ってやつか」







「そうだ」




「考えさせてもらう」






「わかった」







「それよりも俺の書いたレポートに目を通しておいてくれ」







「了解」



俺は部屋から出た。



護衛の者がまた着いてきた。



ビルの入り口に着いた時、俺は「ありがとう」と言った。




俺がビルを出ると、一台の車が止まっていた。スポーツカーだった。



俺は目を向けなかった。



だが、一人の男と目があった。





「山本タクヤ」