「くるみ、いくぞ」 玄関ホールの壁にかけられた大きな鏡に自分の姿を映して、少女は最後にもう一回くるりと回って背中の羽を確認しました。 「大丈夫、ちゃんと開いてるよ」 恐らく彼女の父親であろう男は、そんな娘の姿を微笑ましく眺めています。 「だって、羽が開いてないと妖精に見えないでしょ」 いやいや、君のその愛くるしい姿だけで、十分妖精に見えますとも。