mituhiro's story


「光君」

「なに?姉さん」

「私・・・結婚するの」

「決まったんだ・・・」

「うん」


姉さんが結婚する。

覚悟を決めてたつもりだけど、思ったよりキツい。

何も言わずに黙っていると、


「光君も・・・幸せになってね」


そう言って去っていく後ろ姿を、ただ眺めていた。


「幸せになんか・・・なれねぇよ」



愛した人が去っていくというのに、

俺はなにも出来ずにいた。


「行くな」って

「幸せになれ」って


なにも言えなかった。



もし、今から伝えられるのならば俺は何を伝えよう。



傷つける言葉?
それとも
祝福の言葉?


どちらにしても、今の俺にはなにも出来ない。





滅びゆく世界をただ眺めよう。
(なにも出来ない無力な僕だから)