黒猫 - 迷子の不良黒猫ちゃん - 【完】




金髪男改め、龍は「ふむ」と言って少し考え込んだあと


「龍騎だから龍か。まあいい。お前の名前は?」

と、聞いてきた。

だから、飴を口の中に入れたままモゴモゴと答えた。


『九条。九条 鈴。』


「りん……鈴、か。女々しい名前だな。」


『ほっとけ。』



女だよ。

つか、もろに女の名前じゃん。

……偽名使えば良かった。
でも良い偽名なんか思い浮かばないし、…なるようになれ。


半ば諦めていると


「龍騎が……いきなり名前で呼ばせたん初めてや。」


と、関西弁の男がポカーンとしていた。

え、コイツ他人に名前呼ばせないの?


そして双子も驚いていた。


「「…龍騎が初対面の人を名前で呼ぶの初めてみたよぉ。」」


呼ばせないし、呼ばないんだ。

え、何。龍がよく分かんない。



「………摩訶…不思議?」


と、外国人ぽい人も首を傾げていた。

いやあの、名前呼ばれて呼んだだけなのに大事になってるのが摩訶不思議なんだけど。


本当に、どうして、皆さん唖然としていらっしゃるんですか。


原因は龍ですよね、私じゃない…はず。