黒猫 - 迷子の不良黒猫ちゃん - 【完】





すると、先輩は私に近づいてきて、土下座した。



「スイマセンっした!九条さん!」


『あー、いや。俺、別に怒ってないから、ね?顔上げてください。』


私がそう言うと、先輩は顔を上げた。



「お…怒ってないんですか?……な、なんで?」


『え?だってショボかったから、嫌がらせが。もともと、仕返ししたがっていたのは龍たちだったし。』


ハハッ、と笑いながら言うと、また顔を赤くした先輩。


だから、なぜ。





「あ、ありがとう…。」


『ん。どういたしまして。
じゃあ、龍。俺、先に教室行ってるから。』



そう言って、私はその場を去り、教室へ向かった。




********



「あの……神谷さん。」


鈴にポチと呼ばれていた男が、俺に話しかけてきた。



「なんだ。」


「えっと……九条さん、神谷さん達とは友達じゃない、って言ってたんスけど、本当ッスか?」



そう。

アイツにとって俺らは、
友達でもなく、
彼氏でもなく、


……ただの“知り合い”。