すると、先輩は私に近づいてきて、土下座した。
「スイマセンっした!九条さん!」
『あー、いや。俺、別に怒ってないから、ね?顔上げてください。』
私がそう言うと、先輩は顔を上げた。
「お…怒ってないんですか?……な、なんで?」
『え?だってショボかったから、嫌がらせが。もともと、仕返ししたがっていたのは龍たちだったし。』
ハハッ、と笑いながら言うと、また顔を赤くした先輩。
だから、なぜ。
「あ、ありがとう…。」
『ん。どういたしまして。
じゃあ、龍。俺、先に教室行ってるから。』
そう言って、私はその場を去り、教室へ向かった。
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「あの……神谷さん。」
鈴にポチと呼ばれていた男が、俺に話しかけてきた。
「なんだ。」
「えっと……九条さん、神谷さん達とは友達じゃない、って言ってたんスけど、本当ッスか?」
そう。
アイツにとって俺らは、
友達でもなく、
彼氏でもなく、
……ただの“知り合い”。



