お母さんが死んだ。

俺は泣いた。冷たいに違いないお母さんの白い顔を見て、俺は泣いた。
弟も泣いた。姉も泣いた。お父さんもきっと泣いた。

お母さんは事故死。俺は、バイクでお母さんをはねた男を許さない。
絶対に。一生恨むだろう。
コレで一生恨む人が2人も出来てしまった。

俺は、いつもの様に自分で学校に電話し、休んだ。
風邪をひいたわけでも無いが、母の死がかなりの原因だろう、
常に目尻が熱く、体があまり動かない。
もう立ち直れず、学校には行けないかも知れない。
お願いだからいつもみたいに優しい声を掛けて、お母さん…
重要なお願いは絶対にきいてくれるお母さん。
居ないという現実を直視出来ないのは、弟、姉もきっと同じだと思うが、
2人はとっくに立ち直り、それぞれ学校に通っている。
なんと云うか、薄情な奴らだな。

ところが最近、お母さんがたまに顔を見せに来る気がしてたまらない。
1日に何度も、お母さん独特の暖かいオーラを感じるのだ。
それは自分にとって凄く嬉しくて、同時にどうしようもなく会えないイライラ感と、悲しみ、過去を思い出すモノであった。

お母さんは俺に何か伝えたいのかも知れない…

俺は、そんなよくありそうなパターンを想像した。というより、現実になって欲しいと願ながら想像した。