『孤児』として、わたしは育った。 生まれた時から今までずっと、両親を知らない。 施設には、優しい大人や同じ境遇の仲間はいるのに。 いつも心はひとりぼっちだった。 愛なんて、わたしは知らない。 恋なんて、わたしは知らない。 どきどき 切ない 嬉しい 楽しい そんな感情、わたしは知らない。 いつも寂しさだけで一杯の心。 堪えきれなくなって、施設を抜け出した夜。 満月の夜に、彼に出会った。 .