品よく並んだ一軒家が、明かりを付けていて。 遠くに見える街も明るい。 黒に近づく濃紺の空に月が浮いて。 下は宝石箱みたいなキラキラの夜景。 「…………っ…」 なんだか、涙が出てきた。 「…あんま、ふさぎ込むなよ?」 ポンポンとあたしの頭を叩いて。 でも涙の理由は聞かれなかった。