悠唏は、ちらっとあたしを見て、
「染めた。」
と言った。
悠唏は無愛想だなあ…。
まあ多分あたしも人のことは言えないんだろうけど。
そのとき、ふと気づいた。
悠唏があたしを傘に入れてくれてるのはいいんだけど、かなりあたしのほうに寄ってる。
これじゃあ悠唏が濡れてしまう。
だからあたしは、そっと傘を悠唏の方に傾けた。
「…なんだよ。」
「悠唏濡れてるでしょ？あたしはタオルももらったし、悠唏が傘に入ればいいよ。」
悠唏は「なんだ、そんなことかよ。」とでも言いたそうな顔をして、再び傘をあたしのほうに寄せてきた。
「俺はいいんだよ。」
あたしの目をまっすぐ見てそう言うから、あたしはなんだか、断る方が悪い気がしてきた。
だから、その言葉に甘えることにした。
「ありがと。」
「おう。」
