悠唏side



「もしもし。」


俺は、電話に出る。

相手は…………



〔藍那が目を覚ましたって?〕



…風斗さん。




「はい。夜中だったんで連絡出来なくて。」



風斗さんは、俺の尊敬する人。


親父と、同じ様に。



藍那は知らないだろうけど―――






「そうか。ありがとな、悠唏。」


電話の向こうでホッと安心のため息をついたのが分かる。




「風斗さん、」


〔ん?どうした?〕


「…来ないんですか?」




藍那がやっと目を覚ましたのに。

自分の、娘が。



風斗さんは来るよりも先に電話してきた。


普通、すぐに来るはずなのに。