「名前?どうする?」


「名前?」


「そう本名はだめよ」


「あたし、名前とか考えるの嫌いなんで」


「あ、そう」


ママはあたしを見つめた


「そうねぇ、あんたの名前はアゲハがいいわ」


「アゲハ?」


「そう!だってあなた揚羽蝶みたいだもの」



あたしはこの日から
揚羽蝶になったんだ
片方羽がない揚羽蝶




愛を知らない揚羽蝶
だから愛することを
犠牲にすると決めた





この日からあたしは
愛を売った



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