ホットミルクが入ったカップを二つ持ち、寝室に急ぐ。
そこにはむくれっつらしたキストがいた。
またハザマさんと喋ったから怒っているのだろう。
ごめんごめんと言い、カップをテーブルに置いた。
「熱いから少し冷めるまでまとうか。って、飲んじゃった……。ほらぁ、言ったでしょ。舌火傷したんじゃないの?」
笑い、キストをよしよしとあやす。
甘えっこキストは私が抱くなり、抱きしめ返す。
小さなおててなのに力強くて、母さんと呼ぶ声が可愛らしい。
僕、泣かないから。
そう言って火傷を我慢する姿が微笑ましい。
キストが泣いたら、私が泣くと思っているんだろう。
当たりだ、愛する者が泣けば私も泣いてしまうのだけど。
「あ、れ……」
何故だか、私だけが泣いてしまった。


