カップに入ったミルクをこぼさないように廊下を歩いていれば。 「お母さん」 「キスト」 あらあらと口ぶいてしまうゲストがそこに。 待ちきれずに来てしまったようだ。 見つけるなりに、私の服にしがみつく子供。 おとと、と思わずカップの安全に神経を使ってしまった。 「おそい」 「遅くないよぅ」 「いっぱいいっぱい心配した。悪魔におそわれてないかって」 「もうこの世にいる悪魔は人間に危害を与える人たちじゃないから、何度も教えているでしょう?」 ぎゅっと服を掴む指が強くなる。