目から引き抜かれた包丁。切っ先にこびりついたゼリー状のものが目を引くおぞましい物体をキストからとりあげようとしたが。
「リディア、ああ……。そういうことか」
離してはくれず、あろうことか今度は自分の太ももに刃を突き刺した。
「な、に……何しているの!」
抜こうと必死なのに、抜けたものならまた太ももに刺すキストの異常行動に頭がついていけない。
ぐしゅぐしゅ。
嫌な音が耳にこびりつく。
突き刺し、“混ぜるような音”にさすがに身を引いてしまった。
入れ違いでキストが膝をつく。
残った左目で私を見上げて。
「君は、優しいから……」
ぽつりと呟いた。


