「ふざけないで!守りたい、守りたいって……ハザマさんが私に何をしたの?ソレはただ単に自分の憎しみの発散でしょう!」
「そんなことはない!あいつはずっと君に手を出そうとしてた。俺には分かる。君は綺麗だから――ああ、そうか」
ふと、キストが包丁を振り上げた。
「綺麗だからいけないんだ。顔が綺麗だから、虫が寄ってくる。――なら」
ぐちゃぐちゃにしちゃおうと開いた手でキストは私の口を鷲掴みにした。
りんごでも握るかのように。
「大丈夫、ぐちゃぐちゃになっても俺は君を愛し続けるから。だから、いいだろう?」
にっこり笑う人に寒気がたった。
私を物としてしか見ていないのか。
人への痛みが鈍感すぎる。
いったいどこで育て方を間違えたんだろうと考え、その笑った顔を殴った。


