引っ張られ、抱かれる始末。
「離してっ」
「ああ、温かい。早く抱きたいよ、君のことを。二人でこの温かさを共用するんだ。
さっきから寒くて仕方がない。君が近くにいてくれなかったから」
耳穴に舌を入れられた。
声を出し拒絶したが、無駄で。
「やめろ、キスト!」
「黙れ!」
足蹴にされたハザマさん。キストの足が何度も入り、私が邪魔をしようとすれば――突き飛ばされた。
どれほどの力か、壁際まで飛ばされ、体をうつ。
「そこでじっとしてるんだよ。今、邪魔者を排除してあげるからさぁ!」
包丁を振り上げる手。
後は決まって――振り下ろした。
何度も。
何度も何度も何度も。
頭や肩を狙いザクザクと喋る包丁は血まみれになった。
「ぐっ」
「ほらほらぁ、もっと大きな声で叫びなよ。無様な姿を彼女に見せて嫌われてしまえ!
昔から、昔からお前だけは許せなかった。俺の独占する彼女を横取りをして。
リディアもリディアでこんな下等犬を受け入れて……!憎い、どうしてくれるんだ、この憎しみを!」


