「彼女はお前のものじゃない。冷静になれ、お前と彼女は唯一無二の親子なんだぞ」
「唯一無二の存在と言ってもらいたいな。親子?だからどうした?俺たちの関係に何の問題がある。血の繋がりあるだけで、他はそこら中にいる恋人と何ら変わりがない。
愛し合っているんだ、俺たちは。禁忌だろうが、構わない。誰が決められようか、俺たちは愛し合ってはいけないと」
「前提が間違っている。彼女はお前を愛してはいな――っ」
何かが噴き出した。
噴水のように、けど、無色透明ではない液体が舞う。
先ほどと見た赤色と同じ。
「流石は悪魔、“固い”な。中身をぶちまけるつもりだったのに」
渋々語る彼がなだれたハザマさんのおかげでよく見えた。
倒れ、腹部を押さえていたのは――そこが患部だからだろうか。
「ハザマさん!」
近寄り、寄り添うが。
「邪魔だよ、リ、ディ、ア」
弾む声が聞こえてきたと思えば――邪魔だと腕を掴まれた。


