「誰のおかげで貴様らはのうのうと暮らしていけると思っているんだ。本来ならばその血脈たる俺に跪べき弱小たる存在のくせしてなぁ。
しかもか、彼女に手を出すとは何事だ。薄汚い……!身の程をわきまえろよ、人間!
彼女は貴様らが触れていい存在ではない!」
怒ったキストなんて初めて見た。
辺りの鳥が飛び立つほど、本能に直に“跪け”と語りかけるような物言いは畏怖しか覚えさせない。
鳥肌が立った肌をキストがなでる。
「母さん、綺麗にしようか。僕がしてあげる」
甘い声が耳たぶ付近で発せられる。
響く。とても。
それがデジャブを覚えさせたのはなんでだったか。
「もう二度とこの土地に踏み入るな。踏み入った者は全て排除してやろう」
ふん、ときびすを返すキストに警官隊は殺されなかったと安心をしていた。
もうその手に鉄砲を持つ者は誰一人おらずに、屋敷とは真逆の方へ走っていった。


