ナルは古典担当、透牙は化学担当の教師。



 ナルはいつもの後藤先生に代わって教壇に立つ。



 「祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理
をあらはす……(平家物語)」



 ナルの声は流れる川のせせらぎにように…耳奥に響く。



 ナルの心地いい声と昼ご飯を食べた満腹感から私は教科書で立て、そのまま眠
ってしまった。



 「おい!!」


 誰かに肩を揺すられた。


 「え…あ…もう美味しいけど…スイーツは食べれ…まへん」



 私はそう言って、寝ぼけながら、立ち上がる。