「ごめん…なんかむかついて。」


「“なんか”の意味が分からんわ!」


「モヤモヤすんねん。なんか。」


私がそう言うと、兄貴は目を大きく開けた。


「お前…まさか恋か?」


「…は?」


恋?
私が…誰に?


……染吾郎さんじゃない、私が…好きなのは…?


モヤモヤした気持ちが続いたまま、終業式を向えた。
くそ寒いなか、校長先生のありがたいお話を聞き、教室に戻る。


教室に入って真っ先に暖房を付けて、一番近くで暖まった。


「うぅ~。さむっ!あかんわ、この寒さ耐えられへん。」


暖房に、最大限に近寄り、体を温める。
すると、肩をトントン、と叩かれ、振り返る。


「あれが、寒さの原因みたいだね~。」


桃子が、窓の外を指さす。


「うわ…、雪降ってるやん。」


私は、暖房から離れ、自分の席にあるひざ掛けを体に巻きつけ、窓から外を見た。


外ではけっこうな量の雪が降っていた。


「ホワイトクリスマスだね!」


いつの間にか、妖精が隣にいて、窓の外を見ている。


「せやな…、っていうか、あんた、なんなん?それ。」


「それって…これかい?」


妖精は自分の着ている毛皮のコートを掴んで言う。


「何で、学校に毛皮のコートやねん。」


「なんでって…寒いからに決まってるじゃないか。」


決まってるんや…。
しかも教室の中でまで着んのかい。


でも、あったかそうで羨ましい。