「ふふふ…そうか…妖精か…それもいいかも」


「?」


夏男は不思議そうな顔をして僕を見ていた。
だが僕はそんな事を気にしてはいなかった。


『もうこのまま妖精になってしまおう!』


僕はそう決意した。
ほぼヤケだった。


「そうか…ピーターパンはイギリスが舞台か」


とりあえずイギリスっぽい格好をしてみた。


「なんか中世のヨーロッパ人みたいな格好になったけど…まあいいか」


制服も特注した。うん、妖精みたいだ。


この格好には白馬が合いそうだな…
そう思って白馬を父に買ってもらい、白馬に乗って登校する事にした。


「岩松ー!!何だその格好は!!!白馬で登校すんな―――!!!!」


ゴリが血相を変えて怒ってくる。


「すまないね原田先生!校長の許可はとってあるから問題は無い筈だよ!」


「そうか、それなら…ってうそーん!!それよりお前喋り方まで変わってんぞ!!!」


そうだ、僕は変わったんだ。
アレがキッカケで…僕は完璧、グレてしまったんだ。


************



「そんな事があったんやな…」


私はただ、妖精の話を聞いていた。


「そう、おかげで僕はこの格好をしてるというわけさ。」


「へー。じゃあ、のり姉に告白し終わったら、その服装辞めるん?」


「辞めないよ?」


…なんでや!


「だって気に入ってるからね!」


「………。」


妖精がとびきりの笑顔でそう言うと、私は何も言えなくなってしまった。