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あれから、五年後の春。
あの、懐かしい校舎に、足を運ぶ。
…何も変わってない、懐かしい匂い。
待ち合わせした校門。
小杉を置いていた駐輪場。
のり姉がいた保健室。
一緒に過ごした教室。
舞台をした体育館。
…そして、屋上。
日曜日の人気の無い日に入ったから、誰もいない。
屋上は、もともと人気が無いけど。
今日は、妖精と二人で、高校生活を過ごした、鴨門高校へやってきた。
「懐かしいなぁ。」
私がそう言うと、妖精はただ頷く。
この屋上からの景色も、見なくなってかなり経つ。
「ここは、思い出の場所だね。」
「せやな、色々あったもんな。」
思い出して、しみじみする。
そういえば、ここで、キスしたんだっけ。
懐かしいなぁ。
「あのジンクス、これからもずっと、続いていくんかな?」
「僕達以外に、達成したカップルはいるのかな。」
「結構難易度高いからな~。分からんわー。」
私達は笑った。
妖精は、私の前に立って、真剣な顔をする。
「…どないしたん?」
「ジンクス、きっと叶うよ。」
妖精は、そう言って、私に何かを差し出した。
……指輪。
…これって。
「これからも、ずっと、一緒にいよう。ミッキー。」
「こ…こんなとこで…?」
『ここだから、いいんだよ』と妖精は笑った。
「…うん。」
ほんまに、
強引でナルシストで…
めちゃくちゃな奴やけど…
私の大好きな、妖精な…アイツ。
【END】


