妖精なアイツ【完全版】

私はわたわたと慌てふためいていると、ナオが私の肩を叩く。


「ヒカル君、凄い人気あるんだよ?知らなかった?」


「え…そうなの?」


人気?妖精が?
う、うそ…。


「はじめは、ヒカル君見てビックリする子多いけど、慣れたらいつの間にか好きになってたり…って子、多いよ。」


…って、それ私もやん!!


「そうなんや…。し、知らんかった…。」


「…ミッキー?」


信じられない、というより、ショックの方が大きかった。


妖精が、モテるなんて知らなかった。


「ヒカル君、成績良いし、運動神経だっていいし…。顔だって整ってるし。モテる要素、沢山あるもんね。」


「変人な所を抜けば…ね。」


またひとり、またひとりと、妖精にチョコを渡して行く女の子。


…なんで、私は一番はじめに、チョコを渡さなかったんだろう。


“あとでいいや”って、思ってたんだろう。


「なんか、すっごい情けない。」


私は髪の毛を掴んで、クシャッと、握った。