まだ言葉にしない柚に携帯を出す様に促すと素直に差し出された。 俺の携帯も手繰り寄せて、二つの内の一つを柚の携帯へ括り付ける。 オレンジはもとあるべき場所で綺麗に輝き出す。 「約束」 白い吐息と同時に携帯を差し出す。 両手を差し出され、携帯を受け取る素振りを感じた瞬間。 その白く細い両手は俺の服を強く握った。 後頭部へ掌を軽く添えて、隙間も作らないくらい引き寄せる。 「…あ、りがとう」 「絶対もう手放したりしない」 儚い奇跡だとしても、 お前の光が消えてしまわない様に。