目頭が熱くなるのがムカつく。 こんな時に…… 隠す様に掌で覆う。 「ごめんね、ごめんね、春」 柚の声が次第に震える、それは微かな泣き声で。 俺の汗ばんだ手に柚の手の温もりが走る。 何で俺が慰められてんだよ、バカ柚。 情けねー。 「ありがとう」 何度も伝わる思いに直接応える事は出来なくて、 一杯一杯の胸の内で『守れて良かった』なんていっちょ前に呟いて 手を握り返しながら、 冷たく闇に包まれた夜空を見上げた。