遠い恋-あの空を見上げた日-

新幹線の時間が近づき、
改札まで翼が来てくれた。
改札をくぐればもう
当分は会うことが出来ない。
繋いだ手を離すのは
とても難しかった。

改札をくぐると翼は
すぐに後ろを向いて
歩き出した。
私はそれを少し見つめて
翼とは逆の方向を歩き出した。

新幹線に乗り込んだ瞬間、
抑えていた涙が溢れた。
家族には見せたくなくて
隠れて泣いた。
寂しくてたまらなかった。
ようやく会えたのは
たったの2日だったのだ。
仕方ないことだけれど、
改めて距離の長さを感じた。
毎回会う度にこの辛さを
味わうのだと思うと、
また涙がこぼれた。

そして楽しく切ない初デートは
幕を閉じたのだった。