「2ヶ月前にパソコンで
知り合った人で、
今一応付き合っている」
私ははっきりそう伝えた。
一気に空気がよどんだ。
いくら掲示板を紹介した
とはいえ他人のサオリを
この空気に巻き込んで
しまったことを本当に
申し訳なく思った。
サオリは一切口を
開かなかった。

いきさつを全て話すと
母さんはしょうがなく
「ふーん、そうなん」と
怖い顔で言った。
正直何も伝わって
いないと思った。
その時サオリが
申し訳なさそうに口を開いた。
「サオリが掲示板を
紹介したのが悪いんです。
すいませんでした」と
一言いった。
私は少し驚いた。
そして申し訳なさで
いっぱいだった。
(サオリはまったく
悪くないのに…)
母さんは「サオリちゃんは全然
悪くないんよ」と
私が思ったことと
同じことを口にした。

サオリと別れたあと
家の中に入るや否や母さんは
「顔も見んとよう
好きになれるねえ」と
ボソッと呟いた。

悔しくてたまらなかった。
もちろん2ヶ月前までは
私も母さんと同じことを
思っていたが、
今では説明出来ない何かが
私の中にあるのだ。

悔しくてもどかしくて
胸がいっぱいだった。