メイン道路から少し奥まった小路を入った所に
その店はあった。
ケイちゃんと大介さんは
白ワインのハーフボトルを。
瞬くんは珈琲、
アタシはオレンジジュースを頼んだ。
ちょっとつまむのに頼んだチーズと生ハムには
カリッと焼いたスライスパンが添えられていた。
最初は4人で他愛ない雑談をしていたが
いつの間にか
ケイちゃんと大介さんは
仕事の話に夢中になっていた。
アタシは瞬くんと
最近読んだ本の話や
子供の頃よく見た
アニメの話なんかをしていた。
『アタシは兄妹っていないから
みたい番組を自由に見ていたわ。
瞬くんと大介さんは
チャンネル争いとかしたの?』
『チャンネル争いか…してないよ。
自由に見てたよ』
『あぁ、そっか。
歳が離れてるものね…』
瞬くんは眼鏡をはずし
左手で左目の目頭を
マッサージするように押さえつけた。
『オレと兄さんとは父親が違うんだ。
兄さんから聞いてない?』
『…えっ?』
聞いてない…。
ケイちゃんからも聞いてないし…。

