電車は空いていたけれど
数人の乗客の視線を感じて
アタシはハッと我に返る。
両目からは涙が溢れて
アゴをつたってジーンズを濡らしていた。
下を向き
手の甲でゴシゴシと涙をぬぐう。
ママ…3年かかったけど
やっとママの死を
受け入れる事が出来そうだよ。
産んでくれて
ありがとう。
育ててくれて
ありがとう。
もっともっと
生きていて欲しかったけど
今はもう、会えないけれど
やっと、わかった。
アタシはずっとママが大好きだったし
これからも、ずっと
大好きだからね…ママ。
窓から見える
狭い青空を見上げて
アタシはゆっくり息を吸い込む。
病院でベッドに横たわる
ママの顔が目に浮かぶ。
寂しさでポッカリ空いた胸の隙間を
埋めるように、胸一杯に
深く息を吸い込んでアタシは目を閉じた。

