ヌードなアタシ


『あぁ…
あんま調子良くなかったんじゃねェ?
あいつ本番に弱いからな』


『そっか』


『プロになるつもりじゃないんだし
わざわざ音大に行かなくても
いいんじゃないかって言ったんだけどね。

案の定、レベルの高さに打ちのめされて
落ち込んでるわ』


『楽団とか目指してたんじゃなかったっけ?』


『最近は音楽の教師もいいなってさ。
コロコロ変わんの…』


『へぇ、いいじゃない。
音楽の先生』


『あんな自己中が教師?
俺が生徒なら勘弁してくれって感じだぜ』


運ばれてきた氷いちごを一口食べて
卓己くんは肩をすぼめた。



『以外に、いいんじゃない?
勉強って感覚じゃなくて
感性を育てる授業にするのよ』



アタシは奈緒と会っていない。

奈緒は会いたいとは言って来ないし
アタシも言うつもりは無かった。

卓己くんを介して
お互いの様子を知る程度。



『まあ、音楽のセンス良いのは
俺も認めるけどさ。
あいつが何か1つの枠に
収まるなんて無理だろうよ』


なんだかんだ言いながらも
卓己くんと奈緒はうまくいってる。


アタシ達3人の関係は
かたちこそ変わったけど
今も繋がっている…不思議なことに。