卓己くんと再会して
3年間の時間の空白は不思議な事に
あっという間に埋められた。
考えてみれば
アタシの事を一番よく知っている友達って
卓己くんなんだ。
そのまんまのアタシを
受け入れて見守ってくれた。
余計なことを言わなくても
お互いの気持ちが解るような
そんな仲。
転校先でも、忙しいなりに
友達は出来た。
メールのやり取りもしたし
カラオケにも行った。
でも、あの時みたいに
無防備に泣いたり
途方に暮れて絶望する事は無かった。
あれほど傷つく事も
感情的に嘆く事もなかった。
だからかな。
強い繋がりっていうか…
関わりが無かったせいか
友達としての距離が縮まらないまま
卒業してしまったのかもしれない。
卓己くんとは、転校してからも
時々会ってた。
でも、その年の冬
卓己くんと奈緒が
付き合うようになって…
それからは、なんとなく
卓己くんと2人で会うのがためらわれて。
どちらともなく
連絡が途切れてしまってた。
『奈緒はどうしてる?
このまえのコンクールどうだったの?』
卓己くんは、クリームコロッケ定食を
ペロッときれいに平らげて
アタシのレバニラをつついていた。

