『あ…卓己くん、かき氷も食べようよ』
テーブルのメニュースタンドに
デジカメ撮影でカラープリントした写真と
手書きで【氷いちご360円】
と書かれたPOPが目に留まった。
『速攻でレバニラ定食頼む女が
かき氷食べたい♪って言っても
なんか、かわいくねぇし』
『…なによ、失礼な。
かわいいじゃない、どーみても…』
アタシは奥で調理しているオジサンに
『あ、おじさん♪
食後に、氷いちご下さい』
とニッコリ微笑んでみる。
『…200円でいいから』
寡黙なタイプのオジサンは
頷いてボソリと言った。
『わぁ!オジサンありがとう〜』
更にニッコリ微笑み
アタシは勝ち誇った顔で卓己くんを見た。
『あ、じゃ俺も氷いちご』
卓己くんが間髪入れず注文すると
『兄さんは360円だ…』と、ボソリ。
『……ですよね、ゲロゲロ』
カウンターのテーブルを片付けていた
おばさんがプッと吹き出して笑った。
ちえっ、と卓己くんは口を尖らせ
アタシと目が合うとクスッと笑う。
卓己くんは、大学生になった今でも
女の子みたいに可愛い顔で笑う。
キレイな二重の目は睫毛も長く
細身の体格は、少し大きめの女性って感じ。
本人は相変わらず
それを言われるのが、相当嫌らしく
反動からか、言葉使いは
ますます乱暴で粗くなってた。

