ヌードなアタシ

『こまち、あなたの誕生を
みんなが望んだのよ。
姉さんも、おばあちゃんも、私も。

いい?わかった?
望まれない子だなんて…
そんな馬鹿な事、言わないでちょうだい』



怒ったようにアタシを見つめる。

うん…と、アタシが頷くのを確認して
ケイちゃんは少し微笑み
前方に向き直った。


シートに横たわり目を閉じる。

父親かぁ…

別に会いたいとか思わない。

ママが勝手に産んだ訳で
いきなり
あなたが父親です!なんて言われたら
そりゃ、否定したくなる気持ちも
わかるけど…

血がつながっているアタシが
存在しているのに
知っているのに

無かった事として
関わらずに暮らしている人に
会いたいだなんて思わない。



だけど

寂しさが湧き上がる。

体の中に流れる血が…
半分を占める父親の血さえもが
アタシを認めてくれないみたいで。


どんなに好きだって
時の流れで
環境の変化で
気持ちが離れる事だってあるんだ。

瞬くんと別れて
奈緒と離れて
アタシも少しは理解出来るもん。


じゃあ、ママの気持ち…
ママの気持ちは…?

………わかんないよ、ママ。
どうしてアタシを見てくれないの…?

車の心地よい振動に揺られ
アタシは、答えの出ない問い掛けを
何度も何度も繰り返していた。